学会概要outline
【 就任のご挨拶 2022年秋】
この度、日本動機づけ面接学会JAMIの新理事を拝命いたしました川村智行と申します。大変光栄に感じますとともにその重責を痛感しております。
私は、糖尿病専門の小児内科医です。約35年間大阪市立(現公立)大学附属病院小児科で勤め、2022年9月から「あべのメディカルクリニック」で診療をしております。1型糖尿病の先進インスリン療法を得意にしており、20-30年と継続して診療させていただいている成人患者さんが多いのが診療体制の特徴です。
「やる気の無いように見える患者さん」の診療で困っていた15年前、欧米の糖尿病ガイドラインで「初めてMotivational Interviewing(MI)を用いた対応が、思春期1型糖尿病患者に有効である。」という一文に出会いました。MIとは?と探し周り、ついに小畔美弥子先生が主催しておられた大阪MI研究会で原井宏明先生に出会うことができました。早速、MIを教えてほしいとなごやメンタルクリニックまで押しかけて行ったのが本格的な始まりです。心理療法やカウンセリングは全く素人でしたが、学べば学ぶほど「求めていたもの」がMIの中にありました。原井先生のお勧めで2013年TNT Krakow に参加させていただきMINTメンバーとなり、今ではMIが日々の診療基盤になっています。
私のMI普及活動は、大阪市立大学内でアベノMI研究会を立ち上げて8年目です。毎月学習会は継続しており、患者家族、医療者、心理、司法、教育など多様な方に広く参加頂き、登録者数は170人になりました。その中からMINTメンバーが4人生まれました。私の土台である糖尿病分野におけるMI普及では、糖尿病学会でのMIの認知度は向上しており、教育講演やシンポジウムなどでの発表が増えました。日本糖尿病医療学学会主催のMI集中講座は5年前から開催しております。昨年にはDMMI-studyグループという糖尿病診療に関わる医療者限定のWeb勉強会を始めました。Webのおかげで九州から北海道まで100名以上の方々に登録頂き、毎月30名程で勉強会をしています。その他にも、司法関係での研修も定期的にお手伝いさせていただいておりますが、どれも自分自身にとっても重要な学びの場にもなっております。MI普及活動の中で、私がMIに出会う前に「求めていたもの」を非常に多くの方々も渇望しておられることを実感します。「求めていたもの」に絶対的正解はありませんが、MIを学ぶことで方向性に自信を持って歩むことができると思います。
JAMIは、第1回大会にMiller先生が御来日された際に、大阪にもお越しいただきました。その後も、原井先生が毎回招待されるMINTからのすばらしいゲストのご講演やワークショップも楽しみにしております。
JAMIの社会的役割は、MINTとの連携のもとでMIの普及とともに、その質を担保することです。前理事の方々が作り上げてこられたMIの技能検定は、研究や臨床の質を担保する大事な役割を果たしております。今後その重要性を増していくような体制の強化と普及が我々新理事の重要な仕事です。そしてMINT、MINT認定トレーナーやTNTとの連携を強固で円滑なものにすることも我々の責務です。
JAMIの発展のためには、体制の強化と会員数増加も目指す必要があります。同じく新理事の今井淳司先生と村井佳比子先生と力を合わせて尽力したいと存じます。
多方面の皆様からのご助言と御協力をいただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
川村 智行 代表理事
【 学会の目的 】
日本動機づけ面接学会では、「動機づけ面接」の認知を高めて、実際の現場で利用できる力のある専門家を増やし、人々の健康増進に寄与いたします。
また、グローバルな情報とともに、実際の現場にそくした正確で適切な情報を伝達しております。
設立:2012年9月3日
【 所在地・お問い合わせ先 】
東京都練馬区中村北1-3-8 YSビル
一般社団法人日本動機づけ面接学会
【 定 款 】
当法人は、広く一般市民に対して、カウンセリング技術としての動機づけ面接の普及、啓発及び専門家の育成を行うことにより、国民の健康増進を目的とすると共に、その目的に資するため、次の事業を行う。
- ① 動機づけ面接の普及、啓発に関する事業
- ② 動機づけ面接に関わる人材の育成、教育、研修及び指導に関する事業
- ③ 精神療法、行動療法等についての調査、研究及び情報提供に関する事業
- ④ 各種イベント、研修会、講演会、セミナーの企画、立案、実施、運営及び各種 業務の受託に関する事業
- ⑤ 書籍、教材等の企画、執筆、編集、制作、印刷、出版及び販売に関する事業
- ⑥ 各種検定、資格試験の企画、運営、実施及び資格の認定、付与に関する事業
- ⑦ 前各号に附帯又は関連する一切の事業
当学会は、平成25年2月22日に「動機づけ面接」の商標権を取得いたしました。<登録第5559941号>
【 役員(理事) 】
川村 智行 かわむら ともゆき
1985年 大阪市立大学医学部卒業 1991年 同大学大学院医学研究科卒業
1991-1993 年 カナダ国カルガリー大学 ジュリア・マックファーレン糖尿病研究所研究員
1994年‐ 大阪市立大学大学院発達小児医学教室助手
2007年ー 同 講師
2022年4月ー大阪公立大学大学院発達小児医学准教授
2022年9月ーアベノメディカルクリニック
専門領域:小児内分泌(糖尿病)、小児腎臓病
所属学会など
日本小児科学会(専門医)、小児内分泌学会(評議員、糖代謝委員)、日本糖尿病学会(指導医、近畿地区評議員、専門医判定委員、1型糖尿病の実態の解析に基づく適正治療の開発に関する研究委員会委員)、日本小児思春期糖尿病学会(理事)、日本小児腎臓病学会、日本内分泌学会、日本糖尿病・妊娠学会(理事)、国際小児思春期糖尿病研究会(ISPAD)
Editorial board member: Pediatric Diabetes
Motivational Interviewing Network of Trainer (MINT) member
学会:大阪糖尿病協会理事、 患者会顧問医:近畿つぼみの会、大阪杉の子会,
著書
さらにかんたんカーボカウント クリニコ出版カーボフラッシュカード クリニコ出版
インスリンポンプマニュアル 南江堂 など
今井淳司 いまい あつし
平成17年3月香川大学医学部卒業。同4月東京都立松沢病院初期臨床研修医。平成20年4月同精神科専門研修医。平成26年同精神科医長。令和3年同精神科部長。現在に至る。専門は司法精神医学。
精神保健指定医、精神科専門医・指導医、精神保健判定医、日本司法精神医学会認定精神鑑定医、公認心理師、アンガーマネジメントファシリテーター/トレーナー、MINTメンバー。日本司法精神医学会(理事)、法と精神医療学会(理事)、日本精神神経学会司法精神医学委員会委員。
主要論文:
1) Factors associated with violence among Japanese patients with schizophrenia prior to psychiatric emergency hospitalization: A case controlled study. Schizophr Res, 160(1-3):27-32, 2014
2)統合失調症による暴力.精神科治療学,32(1);53−56,2017
3)BPD治療における精神療法の統合 弁証法的行動療法(DBT)と動機づけ面接(MI)の観点から.精神療法,42(2);208−214,2016
4)精神科病院における動機づけ面接の普及.精神療法,47(3);387−393,2021
5)動機づけ面接の視点から意思決定を考察する.精神科,41(4);480―486,2022
村井佳比子 むらい けいこ
神戸学院大学心理学部教授 公認心理師/臨床心理士
2000年 関西大学大学院 博士前期課程修了 修士(文学)取得
2010年 日本大学大学院 博士前期課程修了 修士(人間科学)取得
2016年 日本大学大学院 博士後期課程修了 博士(総合社会文化)取得
子ども支援センター、精神科クリニック勤務を経て、2017年に神戸学院大学に着任、現在に至る
日本行動分析学会理事、MINT(Motivational Interviewing Network of Trainers)メンバー
専門:臨床心理学・行動分析学
主要著書等:
エッセンシャル心理学(共著)、教育者の成長-フレッド・ケラー自叙伝(共訳)
動機づけ面接の機能と作用機序 精神療法,48,531-536,2022(単著)
セラピー場面での発言の変化は行動の変化につながるのか?-動機づけ面接と行動変動性- 行動科学, 58,97-103,2020(単著)
大学生の精神健康状態の推移と心理的変化の関連 神戸学院大学心理学研究,1, 25-31, 2018(共著)
反応変動性に及ぼす選択反応提示の効果 行動療法研究,42,215-224,2016(単著)
衝動的行動に対するセルフモニタリングの効果 日本大学大学院総合社会情報研究科紀要, 14, 127-134,2013(単著)
【技能検定委員】
原井 宏明 はらい ひろあき
1984年岐阜大学医学部卒業、ミシガン大学文学部に留学、国立肥前療養所、国立菊池病院、和楽会なごやメンタルクリニックを経て、2019年より原井クリニック院長、㈱原井コンサルティング&トレーニング代表取締役。精神保健指定医、精神科専門医、日本認知・行動療法学会・専門行動療法士・常任編集委員、MINT認定動機づけ面接トレーナー。日本動機づけ面接学会 元代表理事。
著書「対人援助職のための認知・行動療法」(金剛出版2010)「方法としての動機づけ面接」(岩崎学術出版社2012)「図解やさしくわかる強迫性障害」(共著 ナツメ社2012)「不安症に気づいて治すノート」(すばる舎2016)ほか多数。訳書 ガワンデ「医師は最善を尽くしているか」(みすず書房2013),「死すべき定め」(みすず書房2016)ほか多数。