協会概要outline
【 ご挨拶 】
■ 設立経緯(設立年月日:平成24年9月3日)
動機づけ面接 (Motivational Interviewing,MI) は、米国のミラーと英国のロルニックが1980年代に概念を確立させました。当初はアルコール依存症などに限定されたものでしたが、その後、他の精神疾患や健康行動・保健衛生行動などさまざまな領域において、比較試験による治療のエビデンスを着実に積み重ねてきました。現在では職種や対象を問わない、対人援助の領域で最も推奨される『面接法・カウンセリング技法』となっています。
動機づけ面接がこれだけ広まることになった理由の一つが、MITI(Motivational Intervewing TreatmetnIntegrity) などのカウンセラーの技能評価をする系統的なシステムを持っていることにあります。どのように優れた技法・トレーニングであっても、その品質を保証するシステムが伴わなければ、最後は期待はずれの結果しか出せない低品質なものに変わってしまいます。
ミラーとロルニックは動機づけ面接トレーナーネットワーク(Motivational Interviewing Network of Trainers、MINT Inc)を組織し、カウンセラーをトレーニングするトレーナーを育成し、トレーナーの品質保証に力を注いできました。2003年、原井が日本で最初の MINT のメンバーになり、その後、日本各地で動機づけ面接に関する講演やワークショップ、個人トレーニングやスーパービジョンを重ねて来ました。
それからほぼ10年が経過し、原井の他にもMINTのメンバーが増え、各地でトレーニングを行える体制が整ってきました。一方、まだまだ不足しているものがあります。品質保証をきちんと行えるシステムがありません。今後,動機づけ面接を使った実際の臨床や治療効果研究が日本でも増えてくると思われますが、その中でカウンセラーが十分な品質を保った動機づけ面接ができているかどうかを保証できる組織が必要です。
動機づけ面接の普及・促進だけでなく、技能評価も行えるシステムを確立させることを目的として動機づけ面接協会を設立することとしました。
■ 呼びかけ
どのような技能でも「私は上手くやっている」という自信は、その技能ができていることの保証にはなりません。自信は過信の裏返しです。車の運転技能を過信している人は、事故を起こしても相手のせいにするでしょう。カウンセリングの場面では、結果が上手く行かないとき、それをクライエントのせい・重い病理のせいにしてしまうのは日常茶飯事です。上手く行かないことを相手のせいにしてしまうことは、動機づけ面接のスピリットを理解していないことです。もちろん、いくら研修しても自信がつかない、うまく行かないのは自分の性格のせいだ、と思っていたら、上手くなるものも上手くなりません。
この協会は、自分の技能について自信を持つことの恐ろしさを知る人をサポートします。実際の技能を評価し、具体的なアドバイスを加え、技能を高めて、実際のクライエントに良い結果をもたらせるようにしていきます。
どのようなシステム・組織も周りとの相互交流がなければ生まれず、育ちません。皆様からのご支援、ご参加をお待ちしています。
原井 宏明
【 協会の目的 】
日本動機づけ面接協会では、「動機づけ面接」の認知を高めて、実際の現場で利用できる力のある専門家を増やし、人々の健康増進に寄与いたします。
また、グローバルな情報とともに、実際の現場にそくした正確で適切な情報を伝達しております。
【 所在地・お問い合わせ先 】
東京都練馬区中村北1-3-8 YSビル
一般社団法人日本動機づけ面接協会
【 定 款 】
当法人は、広く一般市民に対して、カウンセリング技術としての動機づけ面接の普及、啓発及び専門家の育成を行うことにより、国民の健康増進を目的とすると共に、その目的に資するため、次の事業を行う。
- ① 動機づけ面接の普及、啓発に関する事業
- ② 動機づけ面接に関わる人材の育成、教育、研修及び指導に関する事業
- ③ 精神療法、行動療法等についての調査、研究及び情報提供に関する事業
- ④ 各種イベント、研修会、講演会、セミナーの企画、立案、実施、運営及び各種 業務の受託に関する事業
- ⑤ 書籍、教材等の企画、執筆、編集、制作、印刷、出版及び販売に関する事業
- ⑥ 各種検定、資格試験の企画、運営、実施及び資格の認定、付与に関する事業
- ⑦ 前各号に附帯又は関連する一切の事業
当協会は、平成25年2月22日に「動機づけ面接」の商標権を取得いたしました。<登録第5559941号>
【 役員(理事) 】
原井 宏明 はらい ひろあき
1984年岐阜大学医学部卒業、ミシガン大学文学部に留学、国立肥前療養所、国立菊池病院、和楽会なごやメンタルクリニックを経て、2019年より原井クリニック院長、㈱原井コンサルティング&トレーニング代表取締役。精神保健指定医、精神科専門医、日本認知・行動療法学会・専門行動療法士・常任編集委員、MINT認定動機づけ面接トレーナー。
著書「対人援助職のための認知・行動療法」(金剛出版2010)「方法としての動機づけ面接」(岩崎学術出版社2012)「図解やさしくわかる強迫性障害」(共著 ナツメ社2012)「不安症に気づいて治すノート」(すばる舎2016)ほか多数。
訳書 ガワンデ「医師は最善を尽くしているか」(みすず書房2013),「死すべき定め」(みすず書房2016)ほか多数。
岡嶋 美代 おかじま みよ
熊本県生まれ。2004年 熊本大学大学院医学研究科修士課程(医科学)卒業。2005年国立菊池病院臨床研究部心理療法士。2008年和楽会なごやメンタルクリニック心理療法士。専門行動療法士。現在は、BTCセンター東京、日本行動療法学会,日本小児精神神経学会,日本ブリーフサイコセラピー学会,日本臨床催眠学会などに所属。
著書に図解やさしくわかる強迫性障害(ナツメ社),パニック障害ハンドブック・治療ガイドラインと診療の実際(医学書院),認知行動療法の技法と臨床(日本評論社),子どもの不安障害と抑うつ(中山書店),翻訳・認知行動療法による子どもの強迫性障害治療プログラム―OCDをやっつけろ!(岩崎学術出版)など。
山本 一羊 やまもと いちよう
早稲田大学卒。アクセンチュア入社。情報システム構築、業務革新等のプロジェクトに従事。サンダーバード国際経営大学院(Thunderbird School of Global Management)にて経営学修士課程修了。米国における医療機関のネットワークシステムプロジェクトに参画後、その後、グロービスでヘルスケア関連企業などの能力開発プログラムの企画立案に従事する。現在、株式会社エコロジーヘルスラボ代表取締役。
出版本に、レベル6パフォーマンス(日本実業出版社)、できるリーダーのチェンジトークコミュニケーション(セルバ出版)など。事務局及び企業向け担当。
【 教育委員会 】
磯村 毅 いそむら たけし
愛知県生まれ。1989年名古屋大学医学部卒。テキサス大学研究員、名鉄病院呼吸器科をへて、2006年より予防医療研究所代表。トヨタ記念病院禁煙外来、名古屋大学医学部非常勤講師(依存症とメディカルコーチング)。日本呼吸器学会認定専門医・日本医師会認定産業医・動機づけ面接トレーナーネットワーク(MINT)メンバー。著書に『二重洗脳-依存症の謎を解く』(東洋経済新報社)、『図解でわかる依存症のカラクリ』(秀和システム)、『リセット禁煙のすすめ』(東京六法出版)など。
加濃 正人 かのう まさと
1987年横浜市立大学医学部卒業。1991年同大学大学院医学研究科修了。同大学助手・学内講師を経て、2001年より新中川病院内科・禁煙外来(現職)、2009年より昭和大学横浜市北部病院兼任講師(現職)。医師、臨床心理士、日本禁煙学会認定禁煙指導専門医、日本人生哲学感情心理学会認定REBTインストラクター、動機づけ面接トレーナーネットワーク(MINT)メンバー。主著書『タバコ病辞典』(編著;実践社)、『禁煙医療のための基礎知識』(神奈川県内科医学会編;中和印刷)、『禁煙学』(日本禁煙学会編;南山堂)。